どのくらいこうしていたのだろうか…。
 サイザーの羽は、体の傷が癒えていくと同時に白く、純白の羽へと戻っていった。


 紅き羽は白く、白き心は紅く染まる(前編)


 ただ一人の肉親である兄を思って泣き濡れるその姿は、天界から使わされた天使のよう。

 「サイザー…」
 「ふ……っ」
 ぼろぼろと泣くサイザーに、私はゆっくりと声をかけた。

 「鍵もこの部屋にあるわ」

 「っ!?」

 涙に濡れた顔を、そっと撫でた。


 ――サイザーの紅い羽は白くなった。

 ――そして、私の心は紅く染まる。


 「箱を……あけたいのでしょう?」
 
 世界と、彼と。天秤にかけれるはずもなかったのに、天秤に掛けた。
 彼の良心につけこんで、自分のエゴで、彼を箱に閉じ込めた。
 世界も、彼も、守りたかった。

 でも、そんなことはどうでもいいことだった。

 それは、ただ自分を正当化したいだけの理由付け。

 だから……。

 「お前……」

 驚愕するサイザーの手に、鍵を握らせた。

 世界の運命は今、彼女たちの手の中に…。

 TO BE CONTINUED?

   


アニメ版「ハーメルンのバイオリン弾き」SS、『天秤』 サイザー+フルートの続きです。
2007.1.14かきじゅん