李ラックマ6 「きおくそーしつ」


 いたって、ありきたりな展開だった。
 ただ、今の史鋭慶には「そんなものでいいのか」と、困惑が広がっていた。
 「李ラックマ〜」
 「なんだ?小リラックマ」
 小リラックマ青樺が走る。
 李ラックマ暫嶺がふりかえる。
 小リラックマ青樺が、李ラックマ暫嶺に抱きついた。
 「あのな、俺。今日は庭に行ってみたんだけど、すごく花がきれいだったんだ」
 ニコニコと、小リラックマ青樺は見てきたものを李ラックマ暫嶺に報告していた。
 いたくうれしそうに…。何の疑問も抱かずに…。
 陶青樺がこの屋敷に来て、早くも2日目。
 この、少々異常な光景に、段々と慣れてきてしまっている自分が一番嫌な史鋭慶だった。
 「李暫嶺…」
 「なんだ?史鋭慶。ちなみに、俺のことは李ラックマと呼べといっているじゃないか」
 ニコニコと、小リラックマ青樺を腹にくっつけたまま振り返る、李ラックマ暫嶺。
 
 「…」
 史鋭慶は深く、溜息をついた。
 問題はそういうことではない。小リラックマと呼ばれている、青軍の大将・陶青樺が荷馬車に衝突した際に記憶喪失になっており、この状況と自身の格好にまったく疑問を抱いていないことが問題なのだ。
 「しえーけ?」
 小リラックマ青樺は、かわいらしく首をかしげた。そして、トテトテと近寄ってきて、史鋭慶の顔を覗き込んだ。
 「疲れてるのか?」
 「……いや」
 史鋭慶はそう言うだけがやっとだった。
 なぜなら、李ラクッマ暫嶺がニコニコと顔は笑っているくせに殺気を放っていたから…。それを知らぬは、ニコニコと史鋭慶にまとわりついている小リラックマ青樺だけであった。

    


ありきたりな展開でごめんなさい〜。
次回は元堅パパ、貴沙烙ママの保護者登場!おたのしみに☆
06.6.17かきじゅん