「あらあら…」
 一番早くに起きてきたアメリアは、その光景を見て微笑んだ。
 「どうかしたのか?」
 ついで起きてきたゼルガディスも、アメリアの視線の先を見て、「あぁ」と微笑んだ。
 ソファで眠るフィリアと、寄り添うヴァルガーヴ。
 アメリアはちょいちょいと、ゼルガディスの袖を引っ張った。
 「ね。ゼルガディスさん」
 「なんだ?」
 「わたしたちで、朝食、準備しときましょうよ」
 アメリアの提案にゼルガディスは、
 「そうだな」
と、アメリアの頭を撫でた。



フィリアとヴァルガーヴの冬支度

〜朝食をみんなで〜



 お茶の香りで目が覚めた。
 「おはよー、フィリア」
 「おはようございます。リナさん…」
 普通に声をかけられて、寝ぼけなまこで返事を返す。
 ソファで眠ってしまっていたらしい。
 記憶を手繰り寄せると、ちょっとだけ…。と思ったいた記憶がある。
 そのまま寝てしまったのね…。と、体を起こそうとして、腕の中でモゾモゾと動く物体。
 覗き込むと、幸せそうに眠るヴァルガーヴ。
 「ヴァルガーヴ!?」
 「にゅぅ…」
 ガバッと毛布をはぐと、寒かったのかフィリアに擦り寄ってきた。
 「朝起きたら、一緒に寝てましたよ」
 エプロン姿のアメリアが台所から顔を出し、驚くフィリアに声をかけた。
 手際よく、スプーンとフォークを並べていたゼルガディスが苦笑して、
 「夜、トイレにでも起きたんだろう」
と言う。
 もう一度、覗き込むと、やはり幸せそうな顔…。

 幸せね…。

 言葉に出さなくても、あふれ出る気持ち。

 「あ…」
 ひとしきりヴァルガーヴを見つめて、ふと気がつく。朝食を作ろうとして、眠ってしまったことに…。
 「朝食なら今、作っていますよ」
 ゼロスの声がどこからともなくして、ふと見渡した。
 ゼルガディスはテーブルをセッティングしているし、リナは焼きたてのパンを大量に盛り付けたかごをテーブルに運んでいる。
 「おはようございます、フィリアさん」
 アメリアとゼロスがお揃いのフリフリのエプロンをつけて、ほかほかと湯気をのぼらせる鍋を持って台所から出てきた。
 「ゼロス…それは視界の暴力じゃ……」
 寝起き早々に変なものを見た…。
 「そうですか?よく似合っていると思うのですが…」
 鍋を持ったまま、くるりとターンすると、ひらひらとエプロンがゆれる。
 「似合ってたまるもんですかっ!」
 しっぽを立てて言い返すと、腕の中のヴァルガーヴが身じろいだ。
 「ん…。ふぃりあ……?」
 「あ。起こしちゃったわね」
 一瞬にして、母親の顔に戻る。
 「ううん。おはようございます」
 「おはよう、ヴァルガーヴ」
 ほっぺにちゅ。と、おはようのキスをして、微笑む。
 「ヴァルガーヴさんも起きたことですし、ご飯にしましょう。今日は私が腕によりをかけて作りましたから!」
 アメリアの元気な声で、ぞろぞろと皆でイスにつく。

 「いただきます」

と。
 言ったかいなや、翻るスプーン。
 伸ばされる手。
 その合間合間に喋り、食べて。

 「みんなで朝食を食べると楽しいね」
 ヴァルガーヴはそう微笑んで、みながつられて微笑んだ。


 END

    


クリスマス&末年始連続企画。
スレイヤーズ編第4段です。
年始も過ぎようとしている時期に、亀更新ですんません…。
ちなみに、次回で最終話になる予定…。
2007.1.7かきじゅん