二番なり三番なりのいちごは酸っぱい。
Bはいちごを摘みながら、ひとつを噛って、そう思った。思うのだが、つややかな赤い色を見ていると、ついつい手が伸びてしまうというか、口に入れてしまうというか。
苦笑しながら、プチ、プチと色づいたいちごを摘み取っていく。
勤めている屋敷のデーデマン家は屋敷も広いが、菜園も意味もなく広い。もう少し暖かくなったら、今度はブルーベリーの収穫である。楽しみではあるが、なかなか忙しい。
「B、どうだ?」
「セバスチャン。やっぱり二番なり三番なりですから、けっこう酸っぱいですよ」
噛っていたいちごのひとかけらを飲み込んで、振り向く。
思っていたよりも近くにあったセバスチャンの顔にびっくりする間もなく、不意打ちのキス――。
「なるほど、酸っぱいな。量もそこそこあるようだし、ジャムでも作るか」
いけしゃーしゃーと言うセバスチャンに、
「キスで味見しないでくださいよ!」
と、顔をいちごのように赤くして、Bは叫んだ。
いちごは酸っぱかったけど、キスは甘かった……。なんて、絶対にセバスチャンには言わない!と、心に誓ったりしながら。
いちごより甘いキス――。
END
ウェブ拍手小説でした。
2011年8月13日に入れ替えいたしました。
2012.01.30 かきじゅん