『すき』


 「青樺」
 「李暫嶺。…どうしたんだ、それ?」
 名を呼ばれて青樺は振り返った。そこには、両手いっぱいに桃を抱えた李暫嶺。
 「たくさん頂いてな…。食べるか?」
 「ああ」
 青樺は目をきらきらさせて頷いた。
 さっそくいいぐあいに熟れた桃を手にとって、皮をはがしていく。
 かぶりと、かぶりつくと、じゅわっと果汁がしたたり、甘い芳香が室内に充満した。
 「好きなのか?」
 「ん」
 李暫嶺に聞かれて、桃にかぶりつきながら青樺は頷いた。すごくうれしそうに食べる青樺を見て、李暫嶺もうれしそうにしていた。
 「俺のことは?」
 ふいに李暫嶺が青樺にたずねた。
 青樺は桃を飲み込んでから、にっこり笑った。
 「すき」

 


WED拍手小説でした。
2007年5月21日に入れ替えいたしました。

2007.6.27 小説ページに再見