露店でカゴで安く売っていたストロベリーを見て、「たまにはイロイロ作るか」と一念発起したからか。露店の気のいい顔馴染みのおばちゃんに声をかけたところ、売り物にむかない少し痛んだストロベリーもおまけにくれ、かなり大量のストロベリーが台所に鎮座することとなった。
ちなみに、おばちゃんはレモンもおまけにくれた。
弁護士をしているルスカの助手として、ルスカの家に居候をはじめて一年。ガイズはいまや、「弁護士のルスカさんトコのかわいい助手の坊や」として、おばちゃんを中心に人気があるが、当人は知るよしもない。
そんなこんなで、カゴいっぱいにてんこ盛りになったストロベリーを見て、ガイズは目を細めた。
お酒をあまり飲まなくなったルスカは、そのかわりによく甘いものを食べるようになった。
たまには、ストロベリーでタルトかミルクゼリーでもと思っていたが、これだけたくさんあるなら、ストロベリージャムを作って、パンに塗ったり、ヨーグルトに入れたりするといいかもしれない。
――たくさんできるから、うまくできたらエバやシオンのトコロにも持っていこうかな。
と、ガイズはこころの中でちらりと考えた。
そうと決まれば――。
「やるか」
ガイズは大きな鍋を取出した。 ストロベリーを洗って、へたをとり、鍋へと入れていく。時折、これは甘そうだと思うものをつまむのだが、3分の1の確率でハズして、かなりスッパイものを食べてしまうハメになるの繰り返し。
それでも、世話になっている……それでもって、恩人でもあり、恋人でもあるルスカのために何かを作ること。自分ができることをすることは、今は楽しくて仕方がない。
「よいしょっと」
洗って、へたをとったストロベリーに砂糖をサバザバとふりかけ、火にかけた。
瞬く間にストロベリーから水分が出てきて、部屋は甘酸っぱい薫りに包まれた。
それからは、丁寧に灰汁をすくい、味見をしながら砂糖とレモン汁を足し、焦げないように木べらでかきまぜる。コレの繰り返し。
「ただいま。いいニオイだな」
「あれ、ルスカ。早かったじゃん」
花を蠢かしながら、玄関を入ってきたルスカにガイズは声をかけた。
「まだ仕事中だよ。書類を取りにきた」
「そうなんだ。今、いちごジャムを作ってたんだ」
「スゴイな…」
「へへ」
感嘆されて、ガイズは照れ臭そうに笑った。
「まだ途中だけど、味見する?」
「ああ、そうだな」
そう言って、ルスカはガイズを自分の方へと引き寄せた。
「なっ…んっ…」
ガイズのささやかな抗議など、大人のルスカの前ではいとも簡単に封じられて、重ねられた唇に。入り込んでくる馴染んだルスカの舌の感触に体は疼くように熱くなる。
「何するんだよ、いきなり!?」
唇が離れた瞬間に、顔を真っ赤にして怒るガイズに、ルスカはガイズの唇の端についていたストロベリージャムの味見のあとをなめとって、
「味見。おいしったよ」
にっこりと笑った。
ストロベリージャムの味見の方法
END
ウェブ拍手小説でした。
2011年8月13日に入れ替えいたしました。
2011.10.09 かきじゅん