アルルのアルバイト奮闘記 面接編



 『カレーハウス はにコネ一番屋』
 そのお店は、アルルがよく利用する店でもあった。しかし、今日は食べに来たわけじゃない。
 「よしっ」
 アルルは自分に気合を入れて、店舗のドアを開けた。
 「いらっしゃいませ」
 店員さんが振り返った。
 「アレ…」
 しかし、それは見知った顔。近所に住んでいるお姉さんこと、ルルーだった。
 「あら、アルル。いらっしゃい」
 「あっ、ルルー。新しい職場って、ココだったの?」
 「そうよ。どうしたの?」
 いつもとは違う小奇麗な格好をして、突っ立っているアルルに、ルルーは不審そうに聞いた。
 「あ。ボク、今日はアルバイトの面接にきたんだ〜」
 「ふ〜ん。じゃあ、店長、呼んで来るわね」
 そう言って、ルルーは厨房へとひっこんでいった。



 そして、厨房から現れたのは、仮面をして、コック服を着た謎な人。なんだか分厚いファイルを抱えてきた。
 「私が、カレーハウス はにコネ一番屋の店長、マスクド・サタンだ」
 「はじめまして。ボク、アルル・ナジャといいます。よろしくおねがいします」
 ペコリと、お辞儀をすると、うんうんと頷いた。
 「元気が一番」
 そういって、自ら席に案内してくれた。格好は変だか、常識人ではあるらしい。
 「どうぞ」
 イスをすすめられて、腰をおろす。マスクド店長も、正面のイスに腰掛けた。
 「履歴書は持ってきたかな?」
 「はい」
 アルルはにっこり頷いて、かばんから履歴書を出した。
 少し緊張気味の証明写真。この春、高校入学の際に撮ったものだ。
 「アルルさんは高校生なんだね」
 「そうです」
 履歴書を確認しながら、マスクド店長は時折、質問をはさむ。
 「アルバイトの動機は?」
 「学費と生活費のため…です」
 「土曜日日曜日の出勤はできる?」
 「はい」
 「じゃあ、採用」
 あっさり言われて、「え…」とアルルは固まった。
 「ということで、明日からきてください。時間は…5時から。大丈夫かな」
 「あ…、はい」
 矢継ぎ早に言われて、なにがなんだかよく分からない。
 「よろしくたのむよ、アルルさん?」
 「はいっ!こちらこそ、よろしくおねがいします。マスクド店長」

 そうして、アルルのアルバイト生活は幕を開けたのであった。

 続く

  


WED拍手小説でした。
2007年5月21日に入れ替えいたしました。

2007.6.2 小説ページに再見