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 どんなに忙しくても、きっと笑顔になれる場所。



 それは、大好きな人のそば――。






 おつかい帰りのおたのしみ






 「はぁぁぁ…」
 大きな荷物を公園のベンチに置いて、缶コーヒーでほっと一息。
 最近のお気に入りは、キリンフ○イヤだったりする。本当は小○井シリーズも好きだけど、まだ寒いので外で飲む気にはなれない。
 コーヒーを片手に首をグルグルと回して、空を見上げた。雲一つ無い、きれいな空だ。風はあまりなく、日差しもあるから冬とはいえ暖かい陽気の日だ。
 「いい天気だな」
 不意に頭上から降ってきた声の主は、よく知っている人だから、俺は姿さえ見ずに、
 「そうですよね~」
と、間延びした返答を返した。
 近づいてくる足音がして、ベンチがすこし揺れる。右側がほんのり暖かいように感じるのは、彼が隣に座った所為だと勝手に思う。
 それからいつものように、するりと右手に持っていた缶コーヒーは奪い取られ、俺はむくりと上体を起こして、彼をにらみつける。
 「甘い…」
 そしていつも。一口飲んではそうやって言って、俺に缶コーヒーを返してくるのだ。
 「だったら飲まなきゃいいじゃないですか。俺のなんですから」
 と、食ってかかるものの、
 「いいだろ、別に。うまそうに見えたんだから」
 いけしゃーしゃーと返された。
 むぅっとふくれると、クスッと笑われた。
 それから、不意打ちのように降りてくるキス――。
 「セバスチャン……それって絶対反則…」
 「別にいいだろう、B。それに、そんなかわいい顔をしているお前が悪い」
 「何言ってんですか…」
 顔を赤くしながら言っても、どうしようもないけれど。
 「いい加減なれろ。恋人になってからもうどれだけ経つと思ってるんだ」
 やっぱり飄々とそういうセバスチャンに、なんとか言い返そうとして見上げて。でも、すごく嬉しそうというか、楽しそうに笑っていたから、ついつい俺も笑ってしまった。
 屋敷に帰れば、怒濤のような仕事がまっているはずだけど、セバスチャンがいればきっと笑顔になれる。
 なぜなら、大好きな人のそばにいるのだから――。


 END



あとがき
 はにコネ3周年企画ということで、小説はテーマを決めて書かせて頂きました。
 今回は「大好きなひとのそば」。
 お楽しみいただけたら幸いです。
 2009.2.18 かきじゅん

2009.4.6 NOVELに再アップ。