俺は頑張った。

 ものすごく、自分でもビックリするぐらい頑張ったと思う。

 ジャック・オー・ランタンを作って、家の中を飾り付けして、ご飯を作って待っていたのだ。

 大好きな人を。

 「ルスカのバカ…」

 ついつい口に出してしまった言葉。

 仕事なんだから、仕方がないって分かっているのに…。



 お化けかぼちゃの憂鬱



 すやすやと寝てしまった少年を見て、
 「ヤレヤレ」
と、お化けかぼちゃコこと、ジャック・オー・ランタンは溜息をついた。
 本当は悪戯しにきたのに、帰ってこない愛しい人を思って泣く少年に、どんな悪戯ができるというだろうか…。
 「早く帰ってくるといいな」
 ジャック・オー・ランタンはそう呟いた。
 その瞬間。

 バンッ!!

 大きな音を立ててドアが開いた。
 「ガイズ」
 大きな包みを抱えて、少し眺めのゆるい天然パーマの髪を振り乱して入ってきた青年は、ひどく慌てた様子だった。
 「ガイズ…?寝てしまったのか」
 返答のない少年を覗き込み、ホッと一息つく。
 それから、ジャック・オー・ランタンを見て、
 「一緒に待っててくれたのにな。遅くなってすまない」
と、話し掛けてきた。
 いい人じゃないか。
 ジャック・オー・ランタンは頷いた。
 「ただいま、ガイズ」
 それから、青年は少年の耳元で囁いた。
 「ん…、ルスカ…?」
 かすかに身じろぎして、少年が目を開けた。
 「遅くなってすまない」
 すまなさそうにあやまる青年に、少年はにっこり笑った。
 「Trick or treat」
 少年が両手を差し出した。
 「treatも用意しているが、まずはtrick…」
 青年はそう言って、少年にキスをした。

 よかったな、愛しい人が帰ってきて。
 そろそろ、ハロウィンの夜が明ける。
 ジャック・オー・ランタンは、
 「俺は、悪戯しそびれたなぁ…」
と、ホンの少しだけ憂鬱そうに、呟いた。


 END

 

  


急ごしらえハロウィン企画っ!!
第5段です☆
ハロウィン企画も一応、コレで終了です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

2006.11.5 かきじゅん