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 ずっと、そばに・・・
 


 「奉先様はお強いですね」
 貂蝉が言う。
 「どうした、突然・・・」
 呂布は手を止め、後ろにいる貂蝉に振り返った。
 「いえ・・・羨ましいと思いまして」
 貂蝉は苦笑する。
 呂布は首をかしげたが、それ以上に今隣りに貂蝉がいることに安堵する。
 いつ見ても、貂蝉は美しいと思う。
 しかし今日は、何か疲れたような顔をしているように見え、おもわず凝視してしまう。
 「・・・?奉先様。私の顔に何かついてますか?」
 不思議そうに貂蝉は言う。笑顔を呂布に向けて。
 「いや・・・」
 気のせいと思いたくて、その好意に恥じて呂布は目を逸らした。
 でも気になって仕方なくて、横目でついつい見てしまう。
 横目で見た貂蝉は、不安そうな顔をしていた。
 いつか本当の笑顔を見てみたいと思った。
 いつの日か、その心の中にある憂いをうち解けてもらえるよう、その日を待とう。
 呂布は強く貂蝉の手を握りしめた。


  それから月日は流れ、戦地に赴いた呂布が見たのは、戦場で舞う貂蝉だった。
 「なぜ戦場にいる、貂蝉!!」
 呂布は叫び、戟をふるう。 その呂布の尋常ではない力は、敵を引き裂き、見方は恐怖した。
 その先にいる、貂蝉に近づくため、彼は必死で戟をふるう。
 貂蝉も又、呂布の姿を見つけては、駈けだした。
 呂布の叫びに、貂蝉も自分の思いを正直に叫んだ。
 「私も力になりたいのです!」
 貂蝉は叫び、その華麗な舞は、敵を蹴散らす。
 「しかし・・・」
 呂布は戦場ということも忘れ、渋った顔を見せた。
 「董卓様ではなく、奉先様の力になりたいのです!!」
 貂蝉は呂布に訴えた。
 (奉先様のそばにいたい・・・)
 その一途の思いが、貂蝉を戦場へ誘ったのかもしれない。 そう思うと、呂布は胸が痛んだ。
 だから伝えたかった。
 「貂蝉」
 背中越しで呂布が小声で言った。
 「ずっと、そばにいろ」
 貂蝉は少し驚いたが、嬉しそうに笑顔を向けた。
 「はい」
 二人は同時に戦場を駈ける。
 自分たちの未来のために。
 それがどんな未来でもあっても、そばにいる。
 あなたが朽ちるまで。  


 END


  


この二人は一途な恋であることを願ってます。
無双だとラブラブですが、三國志だとそうでもないですよねー。
死んだ貂蝉を井戸に投げてしまいますから・・・。
最近三國志でハマリは李儒です。どうしよう。微妙すぎ、自分。
2006.10.9 天神あきな