ぼんやりと外を見ていたら、視界の隅に鮮やかなオレンジ色が見えた。


 
『逃走開始』


 渋谷有利、16歳。
 ただいま、汁増量中の教育係と二人っきりです。
 あまりのうっとおしさに、脱走しようかな…どうしよっかな…と、小学生の頃に流行った「かみさまのいうとおり」なんて、口ずさんでいて。ふと見た外の視界の隅には、オレンジ色の髪。
 こりゃ行くしかないでしょっ!
 そんなこんなで、あっとゆうまに決意。そして、計画を実行に移す。
 とはいえ。
 ちょっとだけ首をかしげて、にっこりと笑顔をふりまく。
 それだけ。
 「ぶひゃぁっ!!」
 もれなくギュンターが赤い噴水を吹き上げた。
 「じゃ、ギュンター。俺ちょっと散歩に言ってくるから」
 「ベイガ…」
 「いってきま〜す」
 後ろでギュンターがうめく声がしたけど気にしない。なんと言われようとも、渋谷有利原宿不利、確信犯ですから。
 通りすがりの兵士に、
 「ギーゼラに執務室に行くように言っておいて。ギュンターが色んな意味でヤバいからって」
 そう言って。
 「了解しました、陛下」
 「ありがとう。よろしくね」
 気分は上々。
 だって、オレンジの髪のとっても大好きな人が帰ってきているから。
 広い血盟城を走り出す。
 いてもたってもいられないから。
 「ヨザック!」
 彼を見つけて、その胸に飛び込む。
 「陛下」
 しっかり俺を抱きとめて、少し驚いた顔。
 「おかえりなさい」
 「ただいま帰りました」
 それから、にっこり笑ってくれた。最近見られるようになった、俺の大好きな笑顔。
 「へいがぁぁ〜」
 と、いい雰囲気だったのにギュンターの救急車のドップラー効果みたいな声が聞こえてくる。
 「げっ!ヨザック、逃走開始っ!!」
 丁度ヨザックに抱きとめられていて、地面に足がついていないのをいいことに、ずりずりと首にぶら下がった。
 「どこまで?」
 俺を抱え直しながら、ヨザックが楽しそうに聞いてくる。
 「とりあえず、ギュンターの汁がかからないところっ!」
 「了解」

 END

 


え〜。
何気なく、まるマです。
またもや、やってまいました…。かく気はないといいながら…(苦)。
ちなみに、かきじゅんはユーリ受け推奨です。
で。
今回はヨザック×ユーリ。有利が微妙におかしい人…。


2007.2.18かきじゅん