弟の親友


「頼めるか?」
「ご命令とあらば」
オレンジの髪をした弟の親友は、そう言って口元に笑みを浮かべた。しかし、目は笑っていない。何かを深く考えている顔。そう短くはない付き合いで、いま目の前に立っている弟の親友で、自分の部下である男が、何かを思い巡らせていることぐらいは分かった。
それも一瞬のことで、すぐに飄々とした笑みを顔に貼り付けた。弟とは少しタイプは違うが、完璧なポーカーフェイス。
痛みも苦しみも、全てを心の奥底に沈めて、飄々と笑みを浮かべて、人を必要以上に立ち入れさせない。それは、自分たちが彼らにしてきた仕打ちゆえの所作。弟に対しても、この不器用に部下に対しても、申し訳なさと、当事力がなくて守ってやれなかった自分の不甲斐なさと、後悔が募る。
しかし新魔王がきてから、まずは弟が。そして、部下が変わっていた。太陽のように明るいあの小僧のおかげだろう。
ほっとしたのもつかの間、弟は寝返った。敵国、大シマロンへと。何か策があってのこととは思うが、何も連絡がない。もちろん事前の打ち合わせもなかった。
「しっかし。隊長もなにやってんですかね」
彼――グリエ・ヨザックは、茶化したものいいをして、肩をすくめた。「坊ちゃんも泣かしてさ」とぶつぶつを呟く。
「まったくだ」
今は遠い人間の土地、大シマロンにいる弟を思い、頷いた。
「ほんじゃ、明朝に出発します。閣下」
「ああ。よろしくたのむ」
普段、不真面目なわりに、一応けじめだからと敬礼するグリエに頷いた。
「それから…」
踵を返して、退室しようとしているグリエに声をかけた。
「はい?」
「生きて帰ってくるように」
常とは違う声かけに、きょとんとして振り返るグリエには、幼少時代に弟とよく遊んでいた頃の面影が少なからずあった。あの時、守れなかったから、今こそは守りたい。弟も、目前にいる彼も。軍人として、死して国の礎になることすら厭わない決意でいる彼らに、この思いは迷惑かもしれないが。
「了解しました」
その思いを知ってか知らずか、グリエは笑みを浮かべて、敬礼した。

END



まるマで、グエン×ヨザ…。
次男が大シマロンに寝返って…あたりのつもり。こんなんでどうでしょうかね。

ちなみに、まるマ初書きがコレって、どうよ?


2009.6.27 NOVELにアップ(日記up時:2006/09/11)かきじゅん