あなたと離れている時間を埋めるのは…。

あまいあまいキス――。





キスチョコ





ハーシーのキスチョコ。
ネーミングはともかく。前は大きな袋でしか売ってなくて、高校生の俺の財布にはちょっと痛かったハーシーのチョコレート。
最近はコンビニで量の少ないのが売ってるから、ちょこちょこ買うようになって、スタツアった今日も丁度、コンビニで買ったチョコを持っていた。
「風呂じゃなくて良かったよ」
血盟城の噴水にスタツアした俺は呟いて、コンビニの袋を覗いた。
中にはハーシーのキスチョコ。
それから、新しく買ったボールペンと、アクエリアス。
ボールペンは後で使えるかどうか確認しないとな…。
「懐かしいですね」
ひょいと袋をのぞいたコンラッドが、目を細めた。
一瞬、なんで?と思い、そうだったと思い直す。地球に……しかもアメリカにいたんだから、知ってるはずだよな。ハーシーはアメリカのチョコなんだから。
「おふくろが好きで、よくおやつに食べていたんだ。コンラッドも向こうにいた頃は食べたりしていた?」
「ええ。そうですね。時々は……」
「食べる?」
「えぇ」
ニッコリと頷くコンラッドに、俺もニッコリと笑って。
「あ」
と、言ってコンラッドの気をそれしている間にキスチョコを口に入れ、首に手を回し、キスを仕掛ける。
ビックリしているコンラッドの表情を見て、してやったりと一瞬だけ思った。
すぐに力強く抱きしめられ、舌でキスチョコをコンラッドに押しやるとそのままからめとられた。
「ん…」
「今日は情熱的ですね、ユーリ…」
甘い甘いキスの間に囁く声。

コンラッドがいなかった寂しさを埋めているだけだ。と、心の中で呟いて。


――甘い甘いキスをした。





END




あとがき
うちのユーリはどうしてこう積極的というか、獲物を狙う子猫(でも子猫)のような行動に出るのでしょうねぇ…。
バカップルもここまでくると、ごちそうさまとしか言い様がありません(笑)。
ちなみに、ハーシーのキスチョコはうまいですよ。
私は好きです。
ちなみに中学時代、「ある意味エロいネーミング」だとひっそり思っておりました。当事から、私の脳みそは腐っていたのでしょうね(爆笑)。
2009.5.30 かきじゅん

裏日記より表NOVELへupしました。