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裏に行くほどでもないけど、微エロです。(キスとか)
苦手な方は、ブラウザバックしてください。

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「お帰り、ヨザック」
任務から帰り、自分の部屋のドアをあけたと同時に飛びついてくる黒い人影。

ぎゅうっと抱きついてきた、最愛の魔王陛下。

「只今帰りました」
そう言って、やわらかな髪を撫ですいて、高貴なる漆黒の髪に口づけを――。





だからずっと抱きしめていて





最初は甘くやさしい口付け。
全身をくまなく、そしてやさしく触れる手。
「どこも怪我、しなかった?」
「大丈夫ですよ」
首をかしげて、心配そうに尋ねる最愛の主君の手を握った。
「こうして、坊ちゃんが調べていても、怪我なんてなかったでしょ」
やさしく触れてくれていていた手は小さく、いつもきれいに整えられている。
ヨザックはまるで吸い寄せられるように、その指先に口づけた。
あるときは瀕死のものを助ける治癒の指先。
また、あるときは魔力をほとばしらせ、悪人を懲らしめる正義の指先。
そして、常にペンを握り執務を行う指先。
時に、土にまみれ、遊ぶ幼い指先。
人と国をつなげていく、慈悲と平和の指先…。
この小さな手は。
この小さな指先は、いつも時代の先端を行く。
慈悲と平和を持って。
「んっ…。そうだけどさ……っぁ」
口にくわえて、舌でなぞると顔を真っ赤にしたユーリが涙目でヨザックを見上げた。
「ヨザック…」
見上げてくる情欲に濡れた瞳に、ゾクリとした。
それから、どうしようもない支配欲。
「坊ちゃん」
吸い寄せられるようにキスをして、全身に口づけていく。
ユーリは恥じらいながらも、甘い声を上げた。
思考も体も蕩けた頃に、ヨザックは小さく、「ユーリ」と呟いた。



この高貴な色をもつ主君が、自分だけのものではないと分かっている。

しかし、どうしようもないこの感情。

愛しているからこそ、その全てを支配したいという欲望。



「ヨザック…?」
「どうかしましたか?」
「それは俺のセリフ。どうしてそんな、泣きそうな顔をしているんだよ?」
全てを見透かしていそうな漆黒の瞳に覗き込まれて、ヨザックはわけもなく狼狽した。
ぺたりと自身の顔を触った。
なんだろう。
悲しい?
いや、そんなんじゃなくて。
「そんな顔してますかね」
「うん」
情けなくも即座に頷かれて、大人失格だなと呟いた。
「痛い?」
「いえ…」
問いかけに、ゆるゆると首を振って否定する。
何かを考えるように、そして探るようにヨザックをみていたユーリは、そっと伸び上がりヨザックを抱きしめた。
「大丈夫、俺はココにいるよ。ずっと、どんなことがあってもヨザックの傍にいる。だから…」

――安心していいよ。

囁かれた瞬間、涙が一筋、頬を滑り落ちた。
どうして、この御方は欲しい言葉が分かるのだろう。
いつだって、不安なんですよ。
貴方はまだ若くて、かわいくて、まっすぐで一生懸命で、魔王陛下であらせられるから。
だから、嫉妬するんです。
貴方の周りに集う人たちに。
それと同時に、自分だけのものにしたいと強く思う――。



だから。
ずっと、抱きしめていて。

貴方が俺のものだと感じられるように……。


END



あとがき
懐の広いユーリと、甘えたさんなヨザです。

2009.12.13 かきじゅん (裏日記より表へ移動)