いつもあたたかいお日様のように微笑んでいる大切な人。

 いつもしてもらうばかりで、なにも出来ない小さな自分。

 「なにかできないかな…」
 小さく呟いて、窓の外を見た。
 よく知った人がうちに向かって歩いてくる。
 「あ…」
 そして、ヴァルガーヴは勢いよくイスから飛び降り、走り出した。



 
春の便り



 「こんな感じ?」
 「うんうん。いい感じ」
 春の訪れを思わせる、あたたかい日差しの日だった。
 リナはヴァルガーヴと一緒に、ヴァルガーヴとっておきの場所にきていた。早春だというのに、色とりどりに咲き乱れる花。
 その中のいくつかを摘んで、ヴァルガーヴはせっせと花束を作っていた。
 先生はリナ。
 フィリアになにかしてあげたいというと、花がいいんじゃないかという話になった。じゃぁ、花束をあげたいからどうしたらいいのか教えて欲しい。と、いったら、 色々と用意してくれた。色とりどりのリボンや、キレイなセロファン…。
 あとは花だけど…と、考え込んでいたリナに、「いい場所がある!」と勢い込んで引っ張ってきたのだ。
 「じゃぁ、コレをリボンで…」
 「この色がいい」
 「OK。じゃあ、このリボンで…」
 リナはいい先生役で、ヴァルガーヴがやりやすいようにそっと指示を入れてくれる。
 「できた!」
 白がメインの花々に、薄いピンクのセロファン。そして淡い色合いのピンクのリボンをつけた。うれしそうに見上げるヴァルガーヴの頭をクシャリと撫でて、リナはニッコリ笑った。



 「フィリア!」
 家の玄関で自分を待ってくれている人を見つけて、ヴァルガーヴは駆け出した。
 「おかえり、ヴァルガーヴ。リナさん、ありがとうございます」
 フィリアはにっこりと微笑んで、ふたりを迎え入れた。
 「私のほうが御礼いわなくっちゃ。ヴァルガーヴ借りちゃって、いいトコにも連れて行ってもらえたし」
 リナはそう言って、ヴァルガーヴにウインクをひとつ。
 「うん」
 「ほら…」
 さっきまでの勢いはどこへやら、モジモジとするヴァルガーヴの背を、リナはそっと押した。
 「ん」
 「私に?」
 突如として差し出された花束に、フィリアは首をかしげて尋ねた。
 「……いつもありがと、フィリア」
 花束に結わえられたリボンと同じ色に頬を染めて、一生懸命に言葉を紡ぐヴァルガーヴ。  フィリアは、春になり蕾が花開くような笑顔で、その花束を受け取った。
 「キレイね…。ありがとう、ヴァルガーヴ。とってもうれしいわ」
 ヴァルガーヴは、フィリアの笑顔があたたかな春の日差しのようだと思った。
 「まるで、春の便りのようね」
 そう言って、フィリアはまた笑った。

 END

 


スレイヤーズは久々にゼロリナで行こうと思っていたのですが、気がつけばヴァルフィリでした。
春らしく、あたたかな話にしてみましたがいかがでしょうか?
一応、年末年始企画の続きにあたるのかな。話的には…。
2007.2.19かきじゅん

フリー期間終了です。ありがとうございました。