花占い



 
 「スキ・キライ・スキ…」
 Bは小さく溜息をついた。
 ちょっと用事を頼まれて、別宅に行った帰りだった。なんとなくまっすぐ帰る気になれなくて、らしくもなく「少しなら休憩してもいいよな」と、自分に言い訳をしながら、ジュースを買って目についた川原に座り込んだ。
 そよそよと、風に吹かれるカモミールの白い花をなんとなく手にとって、気が付いたらぷちぷち花びらをちぎっていた。
 「キライ・スキ・キライ…」
 こんなところで、初恋したての女の子みたいに花占いなんて、何でしているんだろうと溜息をついた。
 思い出すのは、金色の髪のきれいな人。
 恐くて、逃げ出したいのにスキ。
 自分が自分でなくなりそうな恐怖があるのに、キライになれない。
 近づけもしないのに、気が付けばあの人のことばかりを考えている自分が、不思議でたまらない。
 女の子じゃあるまいし…。と、思い返して苦笑する。
 「スキ・キライ・スキ・キライ…」
 花びらの残り少なくなったカモミールをみて、溜息をついた。残りは二枚。
 「これでいいね」
 後ろから手が伸びてきて、花びらを一枚取っていった。
 「スキ――」
 振り返ると、笑顔のユーゼフがいて、頬にキスをされた。
 「それ以外、許さないから」



 END  

   


あとがき

 仕事で行った県の法律改正に伴う説明会の会場で、自分の職場の方面と関係ない話になった瞬間にカリカリと…。腐っています…。
 花占いって、なにげに小学生ぐらいのときにしましたよね〜。答えは2つだけなのに、なにげに落ち込むんですよね。
 もうそんな時代は終わっちまったけどもさ…。

06.7.16 かきじゅん