「ただいま」
 ほの暗い明かりが点された家に帰るAM3:00。
 冷蔵庫のモーター音だけが、静かな家に響く。
 「ふぅ」
 小さく溜息をついて、ジャケットを脱いだ。
 手にもって、面倒だから放り投げようとして、後でしわを伸ばす苦労を考え、ハンガーへかける。
 寝室へ続くドアを開けて、口元が綻んだ。
 こんもりとふくれた、ベッドのふとん。
 ちょこっと覗く髪。
 愛しい人の、寝息…。
 「ただいま、太一」
 俺は囁いて、眠る恋人へキスをした。



 
帰る場所は愛しい人のすぐ隣



 ゴソゴソと隣にヤマトが入ってくる気配がして、俺はヤマトを抱き寄せた。
 少しひんやりとしたパジャマが、今しがた帰ってきたばかりだということを知らせる。
 「おかえり」
 「ただいま。…起こしたか?」
 囁くような、気遣わしげな声がして、
 「いや」
と、微かに首を振った。
 ヤマトのバンドはメジャーデビューし、その人気はとどまるところを知らない。一方、俺もプロのサッカー選手としての道を歩んでいた。
 互いの道は違えど、ささやかに暮らす幸福をかみ締める日々。
 デジタルワールドでの冒険は、大人になった今でも俺たちの大切な思い出であり、体験であり、かけがえのない絆だ。
 取っ組み合いの喧嘩もしたし、泣いたり、怒ったり、笑ったり、共に喜び合ったり…。いろんなことがあったけど、いつだって俺が帰るべき場所はヤマトのところ。
 そして、ヤマトが帰ってくるところも、俺のところで…。
 「明日は?」
 「レコーディング。太一は?」
 「練習だな」
 「そうか…」
 囁くように、小さな声で。
 お互いの体温を感じながら、まどろむ一時。
 「ふぁ…」
 ヤマトが小さく、あくびをかみ殺した。
 俺はヤマトを抱き寄せ、いつものポジションにつく。
 「おやすみ」
 「あぁ…。おやすみ、ヤマト」
 俺はヤマトの額にキスをして。
 ヤマトは俺の頬にキスをする。


 すぐに訪れる睡魔。

 たゆたうように、ゆっくりとリズムを刻む呼吸。

 家に帰れば、愛しい人が待っているという安心感。

 いつだって。
 どこだって。

 帰る場所は愛しい人のすぐ隣――。

 END

 


あとがき。

うわっ。バズかしぃ…(じゃぁ書くな)。
ということで、とっても久々な太ヤマでした。
今回は、大人になった二人の生活がコンセプト。すれ違いから喧嘩もするのでしょうけど、絆の強い二人だから、しっかりといちゃこいて末永く幸せなハズですよね。
2007.2.25かきじゅん

フリー期間は終了しました。ありがとうございました。