永遠に。

 貴女と共に。



 貴女の命が尽きる時



 ゆっくりとした時間を愛しむように、ゼロスはリナの栗色の髪をすいた。
 意志の強い瞳は閉じられ、まだ幼い寝顔をさらしている。
 「リナさん…」
 囁けど、かえってくるのは健やかな寝息だけ。
 「魔族が愛しているというのは、おかしいですか?」
 夜の闇に溶け込むように囁かれた言葉は、人としての真実の愛の言葉。
 「僕も随分と貴女に感化されたってことでしょうか…」
 クスクスと笑うゼロスの顔は、幸福そのもので。
 「んっ…」
 微かにリナが身じろいで、また、すうすうと健やかな寝息を立てる。
 「貴女の命が尽きるとき、僕はこの世界を混沌の海へと帰しましょう」
 癖のある髪をゆっくりとすきながら、ゼロスは恍惚の表情をうかべた。



 貴女とともに、母のもとへと。

 一緒に、混沌へと。

 貴女と混ざり合って、落ちていくこと。



 それが僕の、貴女に対する唯一の愛の証。



 貴女に。

 混沌と永遠を――。


 END

 


あとがき
はい、ゼロス独白でした。
リナは絶対、人として命を全うすると思うんですよね。そうなると、ゼロスは残されてしまうわけで…。
今だって、混沌へと帰るために破壊工作(笑)をしているわけなんだろうけど、リナが頑張って生きている世界だから、「おもしろがっている振り」とか「美的センスがどーのこーの」とかいいつつ滅ぼさないような気がするんだよね。
でも、リナがいなくなった後の世界は、ゼロスにとってなんの面白みもないわけだし、魔族にリナほど対抗できる人はいないと思うから、あっけなく混沌へと帰っていくことだろうと思います。
でも、ホントに。それがゼロスなりの愛の形なんじゃないのかな。とか、思ったりしています。
2007.8.22かきじゅん