眩しすぎる太陽  


 「スタン!」
 
 非日常になってから毎朝聴く出来事。
 ルーティが毎朝やっている。
 「スタンさん、朝ですよ」
 今日はフィリアも参戦する。
 『いい加減にしろ、スタン!いつまで寝ている!!』
 耳元でソーディアン・ディムロスが怒鳴る。
 そんな様子をいつも横目で見ている。
 すでに日課となってるその姿は毎朝毎朝、飽きないのかと思う。
 「スタン君、相変わらずだな」
 そんな様子を笑いながら見ているのはウッドロウ。ファンダリアの王だ。
 こんな奴らに囲まれた自分に、ため息をつく。


 「ごめん、ルーティ、みんな」
 ルーティに無理矢理起こされ、最初は寝ぼけていたが、目が覚めたのか寝癖のついた髪を撫でながら苦笑する。
 『スタン、他に言うことはないか』
 ディムロスも慣れてきたといえ、毎朝毎朝これではたまったもんじゃないと言葉には含まれていないが、声にはきちんと含まれている。
 「だから、ごめんって謝ってるじゃないか」
 ディムロスの言葉にスタンは抗議する。
 『もう、いい加減にしなさい』
 アトワイトが救い船を出す。
 『そうじゃの。先を急ぐ旅じゃからの』
 クレメンテが付け足す。
 流石のディムロスも降りて
 『・・・スタンさっさと準備しろ』 とだけ言う。
 「わかってるよ」
 そう言うとスタンは部屋を出て行く。
 スタンの後ろ姿を見送りながら、ふと思い出したようにマリーが顔をあげる。
 「そういえば・・・。この間話したがもうそろそろ食糧の補給がしたい」
 その言葉にすかさずルーティが反応する。
 「そんなにやばい?」
 ルーティが聞く。
 「これからのことも考えると、もう少し欲しいな」
 この後、偶然に殺意を抱いた。


  「わーい」
 目の前に広がる光景を夢だと思いたかった。隣にいるルーティもまた、同じような顔をしている。
 「羊・・・がたくさん・・・」
 フィリアが呆然と言う。
 「かわいい・・・」
 マリーは気に入ったらしく、羊に近づいていく。
 「こら、スタン!」
 ルーティが羊と戯れているスタンを大声で呼ぶ。
 用件が分からなかったので、スタンは取りあえず手を振る。
 「・・・」
 ルーティは怒りで肩をふるわせ、今まさに大声で叫んでやろうかと言うときに、ウッドロウが止める。
 「いいではないか。少しの間だけだ。私たちも体を休ませよう」
 と言う。
 すっかりこの光景になじんでしまってる。
 元はといえば、町でお年寄りに声がかけられたのが原因である。腰を痛めたらしく、孫も今日は出かけており誰も羊の世話ができないと。
 お人好しのスタンが引き受けてしまった。
 思い出しただけでも腹が立ってくる。
 「あんたね・・・」
 矛先を向けようとすると、アトワイトがなだめる。
 『体も心も急速を必要よ。いい機会じゃない。あなたも少し休みなさい』
 不服かルーティが口をとがらす。
 「先を急ぐんじゃないの」
 そんなルーティとアトワイトの会話を聞きながらクレメンテが言う。
 『体は何処でも休めるが、心はこういった自然があるところの方が休めるじゃろ』
 後から、わしらは必要無いがのと付け足した。
 「わかったわよ・・・」
 ルーティがついにおれ、草の上に寝る。
 今日は快晴で気持ちいい。
 確かに心の休息にはもってこいかもしれない。

 『だそうですよ、坊ちゃん』
 シャルティエがおもしろそうに言う。
 「・・・くだらん」
 そう言うと少し離れたところにリオンも腰を下ろす。
 顔をあげると、マリーが羊に触り、それを見ながら驚くフィリアが見える。少し視界を動かせば、チェルシーが花冠を作ろうと奮戦している。ついに呆れ切らしたのか、ルーティが作り方を教えに行く姿が見えた。そんな二人を微笑ましそうにウッドロウが見ている。
 『混ざりに行きますか?』
 シャルティエが声をかける。
 「誰が」
 短く言うと、視線を空に移す。
 太陽が眩しくて、おもわず目を閉じる。
 太陽だけではなく、今ここにある全てが眩しくて目を閉じた。

 「リオン!!」

 名前を呼ばれ、空からそちらに目を移すと、羊と一緒にスタンが視界に移る。
 「なんだ?」
 間近にいる羊に驚きながら、スタンに問う。
 「何って、ほら、羊。かわいいだろ」
 スタンは羊をリオンの顔に近くに持っていき、無邪気に笑う。
 「・・・」
 リオンが反応に困っているのも気付かず、スタンは一人話す。リオンは一蹴してやろうと口を開こうとしたとき、スタンはなんの前振りもなくリオンの手首を掴む。
 「羊と一緒に走るのは気持ちいいぞー。行こう、リオン!」
 「なっ・・・」
 次の言葉を待たず、スタンは走り出す。リオンも引きずられるように足を動かす。
 「わーい」
 嬉しそうに走るスタンを斜め後ろから見ながら、スタンは眩しいのだと思う。

  この空に輝く太陽と同じぐらい。

 図々しくて、馴れ馴れしい、太陽。

 
  時刻も昼が過ぎようとしている。
 「スタンー、いい加減行くわよー」
 ルーティが叫ぶ。
 「スタンーってあれ?」
 ルーティが不意に口を閉ざし、逆に口を押さえている。
 「どうしたんですか、ルーティさん?」
 不思議に思い、フィリアが声をかけると、ルーティが顎でさす。
 「まぁ・・・」
 羊に囲まれながら、スタンは寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている。その傍らには、しっかりとスタンに手を握っられているリオンが又、静かな寝息を立てていた。
 「気持ちよさそうですね」
 フィリアが言う。
 「そうね・・・」
 そう言うと大きく体を伸ばす。
 「そのうち起こして。私も寝るわ」
 言葉と同時に羊に囲まれた草原へ寝っ転がる。
 「ルーティさん!?」
 フィリアの声を無視し、ルーティも又寝息を立てる。
 「ふふ」
 フィリアが笑い、静かにその場を去る。


 太陽とは気持ちのいいものだったんだ。

 リオンは握った手をスタンにばれないよう軽く握り替えした。  

 END  


 「どうだった?」
 ウッドロウが戻ってきたフィリアに声をかける。
 「皆さん気持ちよさそうに、寝ていましたわ」
 「ほぅ・・・」
 『スタンはまだしも、他の奴らもか?』
 ディムロスが問う。
 「えぇ、今ルーティさんも混ざったところですよ」
 フィリアが楽しそうに答える。
 『私をここにおいといて』
 アトワイトが皮肉を言うが声は笑いをこらえている。
 『どれどれ、寝顔でも見に行こうかのぅ』
 クレメンテが言う。
 『起こさない程度にな』
 そう言うと愉快そうに笑った。

  「これはこれは」
 驚いた声が上がる。
 スタンとルーティとリオンが気持ちよさそうに寝ている姿が見に映る。
 「なんか、家族みたいですね」
 チェルシーが楽しそうに言う。
 「そうだな」
 そういうと野次馬は立ち去っていく。

 『本当は僕もお暇したいんですけどね・・・』
 三人に囲まれたシャルティエがぼそりと呟いた。

  


 かなり久しぶりのテイルズ小説の更新です。
 今回はTODリメイクです。
 で何故羊だというと、ミニゲームでスタンが「わーい」と言いながら楽しそうに走ってるところをみてはにわとふたりで考え、「漫画かけよ〜」っていいながら、漫画にする前に小説になる始末です。
 スタリオ(といってもスタンもリオンも攻めがあり得ないと思ってるので両思いすれ違いで←どんなんだ)ぽくやろうと思いましたが、ルーティも混ざって、どう説明すればいいのかわからないことになってますね。さすがだ、ボク。少しは考えろよ。

ここで一つお詫び。

 リオンがいる時に、こんなイベントがあったか記憶にありません。さらにウッドロウ、チェルシーが仲間になった時点で、イベントはノンストップで進みまする。
 つまりこの小説にウッドロウとチェルシーはいてはならなんですよ。
 書いた後に気づくか。大馬鹿だな。ボク。

 まぁ、楽しかったからよしとしよう。うん。(殴)
 2007.4.29天神あきな