a dear friend
今年もヴァレンタインデーが終わった。
今、女の子の間で誰に本命チョコをあげたか。で盛り上がっている。
「アルルさん。今年はチョコをあげましたの?」
ウイッチが顔には意地悪な笑みを浮かべて、興味津々にきいてきた。
「あげたよ」
アルルは何となくこうくると思っていたので、あっさり答える。
「サタン様にあげたの、アルル!!」
ルルーが怒りのあまり立ち上がる。しかし気がつかないのかアルルは指で何かを数え始める。
「何数えてるのよ」
無視された怒りを抑えながらルルーが聞くと、アルルは笑顔で「今年配ったチョコの数」と答える。
ルルーはため息をつきながら、
「それじゃあ、サタン様のは義理チョコなのね!!」
と息をつかさず聞いてくる。
「みんな同じ中身だよ」
その言葉を聞いて安心したのかルルーはアルルがすぐそばにいるのに「アルルがお子様で良かったわ」なんて言う。
「失礼だな〜」
アルルはぷくっと膨れる。
「愛がないですわ。アルルさん。なんならわたくしの愛をお受けになります?」
これにはアルルも間髪得れずに「いらない」と返した。
「遠慮なさらずに!」
「いらないよ!!」
こうしている間にお昼になり、ルルーが立ち上がった。
「帰りますの?」
「愛しいサタン様が待ってますもの」
そう言ってウインクすると、
「今ルルーが、お昼のカレーをお作りしますわー」
という言葉を残してルルーは去っていった。
「相変わらずせっかちだな〜ルルーは」
「ですわね」
そう言って二人は笑った。
「さてと、じゃあ私もお昼にしますわ」
「じゃあね、ウイッチ」
「ええ、それでは」
そういってウイッチも塔へ帰って行った。
一人残されたアルルは、「ボクがカレーならいくらでも作ってあげるのにな〜」とぼやきながら、立ち上がった。
「みんな一緒にカレー食べていけば良かったのに。ね、かーくん」
アルルがかーくんに笑いかける。
そんなアルルをじっとかーくんが見ていた。
「・・・?」
「ぐーぐ」
「なに、かーくん」
「ぐーぐ、ぐっぐー(本当に全部義理?)」
アルルはかーくんに笑みを浮かべると、「実は二つだけ包装が違うんだよ」と教えてあげる。
「ぐー?」
「一つはかーくん。君が食べたんだよ」
君は気にしてなかっただろうけどね。ボクは君に感謝してるんだ。
かーくんは恥ずかしそうに頬を赤くする。
「もう一つは、すぐに分かるよ」
不思議そうにアルルを見上げるかーくんに、
「帰ろ。かーくん」
とアルルはかーくんを抱き上げてた。
家に着くとアルルの部屋に一つのチョコがバレンタインが過ぎたのも関わらず置いてあった。
かーくんは不思議そうにチョコの周りをうろうろする。
「これがさっき言ってたチョコだよ」
アルルはそう言うとチョコを大切そうに持ち上げる。
かーくんはチョコの包装に書かれている文字を見た。
そこにはこう書かれていた。
『a dear friend カミュ』
と。
END
カミュは出てこないけど、カミュアル。
こういうバレンタインもあってもいいかな〜とな。
2009.2.15 天神あきな
フリー終了。2009.5.10 NOVELに再アップ。